熊本県中小企業振興基本条例

熊本県中小企業振興基本条例

熊本県の中小企業は、これまでの経済活動を通して地域の歴史、伝統、文化を育み、県内全般にわたって重要な役割を果たすとともに、地域社会の担い手として、本県の発展と県民生活の向上をもたらしてきた。
しかし、国際化や少子高齢化の急速な進展、人口減少社会の到来など社会構造が大きく変化する中、中小企業は極めて厳しい経営環境にあり、そのことが地域社会全体に与える影響は非常に大きいものがある。
このような状況の中、活力と希望あふれる熊本を築くためには中小企業の自助努力はもちろん、意欲ある中小企業を社会全体で育て支援していくことが重要である。
ここに、中小企業の振興を県政の重要課題として位置づけ、中小企業基本法（昭和３８年法律第１５４号）第６条に定める地方公共団体としての県の責務を果たすため、この条例を制定する。

（目的）
第１条　この条例は、中小企業が熊本県の経済において果たす役割の重要性にかんがみ、中小企業の振興の基本となる事項を定め、中小企業の健全な発展を図ることにより、熊本県経済の活性化及び発展に寄与することを目的とする。

（定義）
第２条　この条例において「中小企業者」とは、中小企業基本法（昭和３８年法律第１５４号）第２条第１項に規定する中小企業者で、県内に事務所又は事業所を有する者をいう。

（基本理念）
第３条　中小企業の振興は、中小企業者の自主的かつ創造的な産業活動が助長されることを旨として、推進されなければならない。
２　中小企業の振興は、豊富な人材、集積された多様な技術及び優れた産業基盤並びに豊かな自然、歴史、伝統、文化等の県内各地域が特性として有する地域資源の持続的活用を図ることにより、推進されなければならない。

（基本方針等）
第４条　県は、前条の基本理念にのっとり、中小企業の支援を行う体制の充実及び強化　を図りながら、次に掲げる基本方針に基づき中小企業に関する施策を講ずるものとす　る。
(１）産業の高付加価値化、経営の革新及び新たな産業の創出の促進
(２）中小企業者の経営基盤の強化に必要な経営資源の確保
(３）自然的経済的社会的条件からみて一体である地域における、同種の事業又はこれと関連性の高い事業を行う事業者の有機的な連携の促進及び産業の集積化
(４）研究開発及び事業活動を担うべき人材の育成及び確保
(５）中小企業における研究開発の推進及びその成果の普及並びに産学行政の連携の推進
(６）環境と調和のとれた産業活動の持続的な発展の促進
(７）中小企業者の振興に資する企業立地の促進
(８）地域の多様な資源、特性等を生かした事業活動を促進する環境の整備
(９）安心して子どもを生み、育てることができる雇用環境の整備

２　県は、前項の基本方針に基づき施策を具体的に実施するに当たり、次に掲げる措置　を講ずるものとする。
(１）中小企業における製品等の販路又は役務の提供範囲の拡大に資するため、県の発注する工事、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行及び透明かつ公正な競争の確保に留意しつつ、中小企業者の受注機会の増大に努めること。
(２）中小企業者が製造又は加工した物品及び中小企業者が提供する役務の利用の促進に努めること。
(３）中小企業者の経営の安定を図るため、効果的な融資及び補助制度の充実に努めること。
(４）国その他の関係機関と協力して施策の推進を図るとともに、必要に応じて、国等に対し施策の充実及び改善を要請すること。
(５）市町村が取り組む中小企業の振興策について、必要な支援を行うよう努めること。
(６）地域、産業界及び大学等と連携を図り、効果的な施策の実施に努めること。

（財政上の措置）
第５条　県は、前条の基本方針に基づき施策を実施するため必要な財政上の措置を講ず　るよう努めるものとする。

（中小企業者の努力）
第６条　中小企業者は、経営基盤の強化及び従業員の福利厚生の向上に自主的に努力を　払い、県民への安全で安心な製品等の供給及び役務の提供に努めるとともに、県産品の利活用、商工団体等への加入等により、地域貢献に努めるものとする。

（県民の理解と協力）
第７条　県民は、中小企業の振興が県民相互の生活の向上と地域社会の活性化に寄与することを理解し、その健全な発展に協力するよう努めるものとする。

附　則
この条例は、公布の日から施行する。

（提案理由）
中小企業の振興を県政の重要課題と位置づけ、中小企業基本法（昭和３８年法律第１５４号）第６条に定める地方公共団体としての県の責務を果たすため、制定する必要がある。
これが、この条例案を提案する理由である。

熊本県の中小企業振興のため、私が起案した条例です。
熊本県議会初の政策条例の議員提案で平成19年3月15日
全会一致で可決されました。