川辺川問題について

川辺川問題について

平成18年7月25日
自民党熊本県連川辺川問題PT
座長  前川 收

治水について

経緯
※過去400年間に記録に残るだけでも100回以上、昭和40年以降でも16回も洪水による被害が発生しており、昨年も一昨年も洪水が起きている現状を受け、昭和41年より川辺川ダムの建設が推進されてきた。

※洪水被害
九州地方整備局 「球磨川水系の治水について」(H13.10月)

※ダムにより水没する約500戸の五木村の皆さんとの移転補償問題は平成2年12月に解決し、既にほとんどの移転が終了しつつある。
※移転補償基準妥結
昭和56年4月 3団体
平成2年12月 1団体
※移転対象戸数
五木村489戸(残1戸)
相良村60戸 (全戸完了)

※長年ダム建設に反対してきた五木村と相良村と熊本県との間で平成8年10月に「川辺川ダム本体工事着工に伴う協定書」に調印がなされている。

※ダム建設に伴う漁業補償について、球磨川漁協組合員の3分の2以上の同意が得られず、県の収用委員会に収用裁決を申請、昨年九月県収用委員会の取り下げ勧告を受け、申請を取り下げる。

※現在、新河川法の施行に基づく球磨川の長期的な河川整備の方向性を定める河川整備基本方針が検討小委員会(熊本より知事と人吉市長が委員として参加)で議論されている。
確認すべき事項
※球磨川における治水事業の必要性は、現在においても変化していない事実。

※村の中心部が水没する五木村において、国の説得(訴訟まで起きていた)に応じ移転がほぼ終了している事

※川辺川ダムの建設はこれから始まるものではなくダム本体を除く付帯工事についてそのほとんどが既に完了している。

※川辺川ダムは清水バイパス、選択取水などの環境対策が講じられたダムである。

※基本高水の議論に出てくる森林の保水力については、科学的な知見が確立されておらず、流域の雨量と河川の流量から基本高水を算定する中にその効果が盛り込まれていると整理されている。
問題点
※ダム建設に地元市町村長および議会は推進を求めているが、知事は「中立の立場」。我々自民党県連は「中立」の根拠となる、ダムによらない科学的合理的な治水対策の具体的説明を求めたが説明はない。

※ 「五木村の尊厳」。ダム上流に位置する五木村には、ダムの恩恵はほとんどない。墳墓の地を下流域住民のために、国県の説得に応じて水没させる決断をした村民の決断はなんだったのか?

※流域住民の生命財産を守るための事業、いくつかの選択肢があるとすればより安全度の高い選択をしていくのが行政や政治の責任。
利水について

経緯
※ 川辺川ダムの建設に伴い、元々水がなく農業生産性が低い、球磨川の北部台地に農業用水を送るために地元農家代表の申請により始まった国営事業。

※ 平成15年5月川辺川利水訴訟の国側敗訴をうけて、国、県、地元市町村、賛成派農家、反対派農家、反対派弁護団で構成する、事前協議がはじまる。

※ もともと1年をめどに新しい計画をまとめる予定が、既に3年、78回に及ぶ事前協議が開催された。

※事前協議の総合調整役である県は、昨年8月に行ったアンケート結果(資料1)をもとに、農水省が示したダム案非ダム案を、今年3月中に絞り込む(裁定)としていたが、3月に新たな県案を提示、地元市町村長がこれに反発、事前協議が機能しなくなる。この事態打開のため、我が党は県議会に川辺川問題特別委員会を設置し、県、事業組合、県議会の共同で農水省に対しこれまで事前協議で議論された内容を踏まえて、新たな案(農水省新案)の作成を要望、5月31日新農水省案が提示される。

※平成19年事業着手を前提とした、案の絞り込みの最終期限が7月14日となり、県は「農水省新案で、土地改良法に基づく農家の判断(農家の同意)を仰ぐための所要の手続きに入っていくと整理した」。

※ この整理に対し、反対派原弁団は農水新案が非ダム案であることの担保が取れていないと反対。相良村長は村の財政負担に耐えられないと反対。
確認すべき事項
※ それぞれの立場の皆さんの共通認識は、水は必要であり「安くて、安定した水を、1日も早く、水を待ち望む農家に届ける」ということだった。

※ダムか非ダムかという争点で意見が分かれていたが、農水省新案が非ダム案であることは、行政間で確認されている。

※ 相良村の主張については、以前から解っていたことである。

※ 案の絞り込みができなければ、19年度事業の予算要求ができず20年度以降の事業の見込みも非常に厳しい状態になり、事実上事業が破綻する可能性がある。

問題点
※ この問題の本質はダムの是非に翻弄されることなく、農家の意見で決めることにある。つまり少なくとも確実に農家の同意取得まで、土地改良法にもとづく手続きを進めていくことが、行政に課せられた責任と考える。

※ 相良村の状況は非常に厳しいものがあるが、財政問題は以前から解っていたはず、今の1299haに決定する時点で、なぜ問題提起されなかったのか疑問である、利水事業については事業組合の一員としての責任感に期待したい。

投稿者プロフィール

Osamu Maekawa
Osamu Maekawa
皆様の力強いご支援のおかげをもちまして、8期目の当選を果たす事が出来ました。心より感謝と御礼を申し上げます。初心を忘れる事なく、県民・市民のため、しっかりと働いて参ります。